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究極の記憶法: [r]音の「擬音」と「ジェスチャー」(その6)流れて移動、支配する

言語学の主流からは異端として葬り去られた「言葉の音素にはそれ自体に意味がある」という考え方を改めて主張しつつ、それを利用して「英単語の感覚をつかんで覚える」、という目的のブログです。とりあえず英文雑誌に手が届く1万語レベルを目指しましょう。

実は、言葉を発声するときの口の動きは、イメージを伝えるためのジェスチャーなのです。
ジェスチャーの認識と英単語の暗記に至るまでの、コアとなるアイディアについては企画意図0、企画意図1企画意図2で説明しています。良ければご確認願います。


昨日の<一旦引き戻した舌を次の瞬間、元のポジションに戻す動き>からa.曲がった状態から、舌を、真っすぐに戻すイメージ、の続き。重要なのは”支配する“というイメージだ。舌が前方に展開されることで力を及ぼすイメージをしてほしい。

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<流れて移動する>
これも[r]音の”動く、動かす“の一派生だが、特に「水の流れ」をイメージするものだ。
[r]音は[l]音と並んで「流音」と呼ばれることがある。柔らかい舌をメインに使って発声することからの名称だろう。

run: 走る、駆ける、急ぎの旅行をする、(…を)急に襲う、逃げる、逃亡する
from PIE *ri-ne-a-, nasalized form of root *rei- "to run, flow"
印欧語根は[r]音の”前にまっすぐ伸びる“イメージから”流れゆく“という意味をあらわしている。
単に足を使って走ることではなく、水の流れのイメージを汲んでいることは、下記の同語源と思われる単語を確認することでわかる。

river: (比較的大きい)川
rivulet: 小川、細流
Rhine: ライン川
いずれも漢字の流(リュウ)を想起すると思うが、瀬(ライ)という漢字もある。川、水の流れ、という意味だ。この音読みにはなじみがないかもしれないが、さんずいを除けば信頼のライなどの頼(ライ)で、ピンとくるだろう。この企画のメインテーマではないが、印欧語と漢字の音の関連は確かなものを感じる。


derive:(…を)引き出す、得る、(…に)由来を尋ねる、(…の)語源を(…に)跡づける
from Latin derivare "to lead or draw off (a stream of water) from its source" (in Late Latin also "to derive"), from phrase de rivo (de "from" + rivus "stream," from PIE root *rei- "to run, flow").
この語も上記と同語源。”流れ”から”外に引き出す“だ。
語源事典の記載によればdrive:運転する、走らせる、駆る、はこれらの”流れ”のイメージとは関係なくゲルマン祖語の独自の語ではないかということだ。確かに“水の流れ”のイメージは感じない。どちらかと言えば、[d]音の”打撃“で家畜を叩いて追いやるイメージだ。だが、語義は重なるので、暗記の役には立つだろう。


random:ランダム
from randir "to run fast," from Frankish *rant "a running" or some other Germanic source, from Proto-Germanic *randa (source also of Old High German rennen "to run," Old English rinnan "to flow, to run;" see run (v.))
ランダムで外来語。この語はrun関連で、“水流”のイメージを強く持つ。少々意外だ。どこに流れるかわからない水のイメージなのだな。子供のころ、漢字の乱(ラン)に結びつけて覚えていた記憶があるが、あながち間違えではない。
より印欧語に沿った漢字は氾濫のランだ。濫は①みだれる。みだりに。②水があふれる。広がる。という意味だ。ランダムそのままの意味と言ってよいのではないか。


<(手を)まっすぐ伸ばす→支配する、押さえつける>
[r]音で”力“”支配“を表現するのは、舌が次第に広がって前方を”覆って“いく動きからのイメージだ。上から押さえつけるというイメージの重なりも感じる。

reign: 君臨、統治、支配、勢力
from Latin regnum "kingship, dominion, rule, realm," which is related to regere "to rule, to direct, keep straight, guide" (from PIE root *reg- "move in a straight line," with derivatives meaning "to direct in a straight line," thus "to lead, rule").
印欧語根*reg- "直線で動く"が設定されている。
かつては語源事典の説明に沿って[r]音で“手前に引っ張る、導く”のイメージを感じることもあったが、語義は”広い地域を支配するという”イメージなので、今では“上から覆いかぶさってくる舌”で”広い”を感じている。


region:領域
from PIE root *reg- "move in a straight line," with derivatives meaning "to direct in a straight line," thus "to lead, rule"
上記同様、“手前に引っ張る、導く”ではなく[r]音の“広い地域を覆う”でイメージできる語だ。


rex: 王、君、国王
from Latin rex (genitive regis) "a king," related to regere "to keep straight, guide, lead, rule" (from PIE root *reg- "move in a straight line," with derivatives meaning "to direct in a straight line," thus "to lead, rule;" source also of Sanskrit raj- "king;" Old Irish ri "king," genitive rig).
語源事典の記述に従わないで[r]音から、広い地域を力で支配する者でイメージしている。
暴君竜T. rexティラノサウルスレックスとして有名な語だ。


regal: 帝王にふさわしい、王者らしい、堂々とした
from rex (genitive regis) "king," from PIE root *reg- "move in a straight line," with derivatives meaning "to direct in a straight line," thus "to lead, rule."
同上。


realm: 領域、範囲、部門、王国
from Old French reaume, laterrealme, variants (in part by influence of Old French reial "regal," from Latin regalis) of roiaume "kingdom."
元の意味は王国だ。力で支配された地域、力の及ぶ場所、ということだろう。
漢字の領(リョウ)を想起する。 漢字の意味は、1 領有すること。また、領有する土地。領分。領地。

ドイツ語だがReichも有名な単語だ。ナチスの「Drittes Reich」(第三帝国)でライヒは帝国と訳されている。
オーストリア(Republic of Austria)の語尾のriaはこのReichだ。この名前は共和国なのか帝国なのかどっちなのかという話だが、どうやら“Reich:帝国”が誤訳のようだ。本来、単なる領地、支配地域というニュアンスだ。皇帝はいなくても構わないし、傘下に従属国を従える必要もない。



<(舌を)まっすぐ伸ばす→(相手に)戻し与える>
既に取り上げた“手元に引き戻す”イメージとは逆の、“相手に戻し返す”というイメージだ。

render:(…に)する、与える、提出する、(…に)翻訳する、(文・絵で)(…を)表現する、描写する
from Vulgar Latin *rendere, a variant of Latin reddere "give back, return, restore," from red- "back" (see re-) + combining form of dare "to give" (from PIE root *do- "to give").
元の意味は、接頭語re-(戻すように)+語幹der"与える"、”相手に返す“ということだろう。[d]音の”ドンと置く→与える“は覚えているだろうか。
意味の中心がつかみにくい語だ。“一旦手元に受け取って、何らかの加工、処理を行った後、その結果を相手に戻し与える”いうのが元の概念だと思われる。
これだと、”判決を下す、翻訳する、(文、絵など)で表現する、という意味を持つことの説明になるだろう。[r]音で戻すのイメージを記憶の補助にする。


rent:家賃、地代、借用料、〈家・土地などを〉賃借する、賃貸する.
from Old French rente "payment due; profit, income" and Medieval Latin renta, both from Vulgar Latin *rendita, noun use of fem. past participle of *rendere "to render"
語源事典によると、元の意味は古フランス語で、“期日の支払い、利益、収入”だ。具体的には、部屋の使用権を受け取って、対価を支払う。あるいは逆の視点で、部屋の使用権を渡して、対価の家賃をうけとるということだ。

支払いと収入の両サイドの意味を併せ持つが、より古い意味は*rendere "与える、戻す "なので”対価を戻す“と、理解すればよいだろう。



<(舌を)まっすぐ伸ばす→(相手に)やり返す、対抗する>
相手からの働きかけに対してやり返すイメージを“伸ばした舌”で表現している。

rebuff: (好意的提供・援助の申し出に対する)すげない断わり
from Italian ribuffare "to check, chide, snide," from ribuffo "a snub," from ri- "back" (from Latin re-, see re-) + buffo "a puff," a word of imitative origin
語冠reは”相手に返す“という意味。一旦、相手から受けた申し出に対しての返しだ。
語根は[b]音の打撃。


refute:論駁(ろんばく)する、誤りを明らかにする、やり込める
from re- "back" (see re-) + *futare "to beat" (from PIE root *bhau- "to strike").
語冠reは”相手に返す“という意味。言い返すということ。語根は[f]音←[bh]帯気音で打撃の音イメージ。



<(舌を)まっすぐ伸ばす→(相手に)質問、言葉、を投げかける>
相手に働きかけることの抽象化で“質問、尋ねる”。[r]音の”力“のイメージも加わって”尋問“という意味を持つ。

interrogate: (系統立った組織的な)質問を行なう、尋問する
/ɪntérəgèɪt(米国英語)
from inter "between" (see inter-) + rogare "to ask, to question," apparently a figurative use of a PIE verb meaning literally "to stretch out (the hand)," from root *reg- "move in a straight line."
印欧語根*reg- "まっすぐ動く"が設定されている。語根のrogare に“相手に圧力をかけて答えを引き出す”イメージを持っている。

だが、感覚的にはrig:縛り付ける、との関連で、尋問する相手を縛り付けて尋問しているシーンをイメージしている。

derogatory:(名声・人格などを)傷つけるような、軽蔑的な、傷つけて
dirɑ́gətɔ̀ri ディラガトリィ
from de "away" (see de-) + rogare "ask, question; propose," apparently a figurative use of a PIE verb meaning literally "to stretch out (the hand)," from root *reg- "move in a straight line."
de "離れるように・(価値を)下げるように"+[r]音の“まっすぐ動かす”イメージで、“(名声・人格などを)傷つける”ような言葉を投げつける、の意味となる。


prerogative: 特権、特典、大権
from praerogere "ask before others," from prae "before" (see pre-) + rogare "to ask, ask a favor," apparently a figurative use of a PIE verb meaning literally "to stretch out (the hand)," from root *reg- "move in a straight line."
元は古代ローマで“選挙で誰を選ぶか事前に尋ねられた”という意味か。prae「前に」+ rogare「尋ねる、好意を求める」ことから。これは選ばれた人たちのみの特権だった。
[r]音の“まっすぐ動かす”イメージで、“尋ねる”だ。



最近のエントリは、漢字との関わりについて言及しすぎかもしれない。Kindke本のあからさまな宣伝だ。
8月中旬以降一冊も売れていない。unlimitedも20~50ページしか読んでくれていない。。。。
100ページくらいでもっとスカスカに読みやすくすべきだったな。

今朝はトン汁。ナスとかぼちゃ、大根。おかずになるし、これはホント楽。
毎日これでいいくらい。


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プロフィール

NP   篳篥

Author:NP   篳篥
大阪市在住
英語の「不思議だが本当」を追求中。

妄想系の英語学習者。そろそろ学習者を脱したいのですが、道は遠い。
TOEICベストスコアは955。
でも、このところずっと受験していません。

このブログの記事をベースにKINDLE本を出版しました。
買ってもらってありがとう!(泣)
面白いと思います。

一冊250円。unlimited対象です。

漢字で覚える英単語 1: 日本人の脳に直接効く

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